学会活動

2021年度:顕彰受賞者のお知らせ

2021年9月18日に、第69回日本心臓病学会学術集会(米子コンベンションセンター)にて表彰式を執り行いました。受賞された先生方の今後ますますのご活躍を願っております。

 栄誉賞

award 磯部 光章 (榊原記念病院 院長/東京医科歯科大学 名誉教授)

この度日本心臓病学会より栄誉賞を賜りました。まことに身に余ることで、心より感謝申し上げます。私は循環器内科医として眼前の患者の診療、将来の患者のため研究、医師・研究者の育成を通じて、心臓病に苦しむ患者のお役に立ちたいとの思いで精進してまいりました。当初は心臓移植拒絶反応の基礎免疫研究や診断、治療法の開発研究を行ってまいりましたが、研究は冠動脈硬化/再狭窄予防の遺伝子治療、ステントやバルーンの開発・臨床応用に発展しました。臨床面では末期心不全、心筋症、高安動脈炎患者の診療やガイドライン作成に携わり、心臓移植委員会では移植の制度設計や多数例の適応審査に携わらせていただきました。最近はより公益的な立場から循環器診療提供体制の改革に向けて循環器病対策推進基本計画の立案やかかりつけ医や多職種のための心不全診療ガイドブック等の作成にも関わってまいりました。こういった日常の活動をご評価いただき栄誉賞を賜りましたことは望外の喜びです。これらの成果はひとえにご指導いただいた諸先生、東京大学、ハーバード大学、信州大学、東京医科歯科大学、榊原記念病院で一緒に活動していただいた同僚・後輩のご援助の賜物です。心より御礼申し上げます。
 教育貢献賞

award 百村 伸一 (社会医療法人さいたま市民医療センター 病院長)

このたびは日本心臓病学会教育講演賞を授与いただけることとなり大変栄誉に存じます。 私は医学部在学中から心機能、さらには心機能低下の結果起きる心不全にも興味を持ち、心不全の臨床研究に主に従事してまいりました。また、その間、我が国の多くの心不全ガイドラインの策定にも委員として参画することができました。心不全の治療は1976年に私が医学部卒業したころは利尿薬、ジギタリスの時代で、現在のように多様かつ有効な治療法が存在することは想像もできない状況でした。その後ACE阻害薬、β遮断薬などのエビデンスに裏付けされた心不全治療法が発表されました。私は心不全ガイドラインの策定にかかわる過程で、エビデンスに基づいた心不全の治療法を広く伝えることも自分にとって重要な役割ではないかと考えるようになりました。そして日本心臓病学会の教育コースの講師にたびたびご指名いただいたことは私にとってはまたとない啓発の機会となりました。これからも心不全の治療法は年々進歩してゆくでしょう。私は微力ながら今後も、心不全の治療について正確かつ公平に若手医師に伝える役割を担って行ければと思いっています。
 上田賞
award 小西 妙 (国立循環器病研究センター 産婦人科)
この度は大変名誉な賞を頂きありがとうございます。ご指導頂いております吉松淳先生、神谷千津子先生をはじめ、国立循環器病研究センター産婦人科の皆様にお礼申しあげます。また、日頃からご協力頂いている心臓血管内科、心臓血管外科、小児循環器内科、麻酔科、病理部、超音波検査室の皆様にも感謝申しあげます。「心臓病を持つ女性の妊娠・出産」の報告を、循環器分野でこのように評価して頂けたことは、これから妊娠・出産を考える心臓病を持つ女性への大きな支援につながると思います。今後も、妊婦さんと妊婦さんを支えるご家族に寄り添いながら、母児ともに安全な妊娠・分娩管理を行えるよう励んでいきたいと思います。
 優秀論文賞
award 高橋 徳仁 (順天堂大学大学院医学研究科 循環器内科学講座)
この度は、栄誉ある優秀論文賞に選出いただき誠にありがとうございます。思いがけない受賞で驚きとともに大変光栄に感じております。
今回の研究論文はスタチン時代における糖尿病患者のリポプロテイン(a)の臨床的意義について、当院のPCI患者データベースを用いて検証致しました。現在、冠動脈疾患2次予防患者においてスタチンを用いた脂質降下療法は、心血管イベント率を減少させることは数多くの研究から実証されています。しかしながら、イベントを完全に抑制することはできず残余リスクと呼ばれています。本研究の結果から、残余リスクとしてのリポプロテイン(a)の予後的価値と治療ターゲットとしての可能性を示唆した結果となりました。今後、さらに研究に励み、患者さんに対して、より効果的な治療や予防を提供できるように実臨床に取り組んで参ります。 最後になりますが、臨床データを構築にご尽力頂いた共著者の先生方、データ収集、解析および論文指導をいただきました土肥 智貴先生、南野 徹教授にこの場をお借りして深く感謝申し上げます。この度は誠にありがとうございました。

award 藤澤 友輝 (心臓血管研究所付属病院 循環器内科)
この度は、栄誉ある賞にお選びいただき、誠にありがとうございます。
このような栄誉は自分に縁のないものと思っておりましたので、授賞の通知を受けて、唯々驚いております。この栄誉は私個人の力ではなく、指導して頂いた諸先生方のお陰であると実感しております。このような栄誉ある賞を頂けたことに心から感謝するとともに、今後とも医療の発展のために、多くの人たちにお力添えを頂きながら、精進していく次第です。


 Case Report Award 最優秀賞
award 手塚 絢子 (東京医科大学 循環器内科学分野)
このたびは日本心臓病学会2021年Case Report Award最優秀賞をいただき、大変光栄に思います。論文作成にあたりご指導いただいた、東京医科大学循環器内科学分野、近森主任教授、椎名准教授はじめ、ご助言いただきました東京医科大学産婦人科学教室の西主任教授、諸先輩方に、この場を借りまして心より感謝申し上げます。また、貴重なご意見をいただいた査読者の先生、編集委員のみなさまに深く御礼申し上げます。本論文では、重症冠攣縮性狭心症の若年女性症例に対するホルモン補充療法について報告させていただきました。冠攣縮性狭心症はエストロゲンとの関連性が高く、生理周期に伴う狭心発作の出現は従来指摘されてきました。ホルモン補充療法が有効であった報告もわずかには存在しますが、22歳という若年者に対するホルモン補充療法の報告はこれが初めてとなります。副作用として起こりうるエストロゲン依存性疾患の存在や、挙児希望の場合の治療の是非など、課題は残りますが、この報告が今後、治療方針を検討する場面でご参考のひとつになれば幸いです。今回の受賞を励みに、日々の診療になお一層邁進して参りたいと思います。誠にありがとうございました。
 Case Report Award 優秀賞
award 山口 尚悟 (安城更生病院 循環器内科)
この度はこのような栄誉ある賞をいただきましてありがとうございます。自分に縁のないものと思っていましたので、授賞の通知を受けて、唯々驚いております。 この栄誉は決して自分だけの成果ではありません。論文の書き方を一から教えて下さった先輩の先生をはじめ、非常に多くの諸先生方にご協力いただいたおかげだと思っております。この場をお借りして心から感謝申し上げます。 本症例は巨細胞性心筋炎の一例でした。まだまだ解明されていないことが多い疾患で、致死率も高く、本症例も残念ながら救命することは叶いませんでしたが、こういった症例報告の積み重ねが、今後の病態解明、そしてゆくゆくは治療につながることを信じて、今後も精進して参ります。

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