理事長就任にあたって

鄭忠和先生 近影

日本心臓病学会理事長(2010年−2013年)
鄭 忠和(鹿児島大学大学院 循環器・呼吸器・代謝内科学)
Chuwa TEI, MD, Ph.D, FJCC

このたび、伝統ある日本心臓病学会の理事長を拝命し、身の引き締まる思いです。初代理事長の坂本二哉先生に心臓病研究の手ほどきをいただいて以来、日本心臓病学会の発展の歴史とともに人生を歩んでまいりました。したがって、私にとりまして日本心臓病学会は格別思い入れの強い学会です。今回、思いがけなく本学会の理事長を拝命したことは青天の霹靂でしたが、私にとりましてこれ以上名誉なことはありません。選出していただいた全国評議員の方々に深く感謝しますとともに、評議員・会員のご期待に応えるべく理事・監事の方々と一緒に本学会をさらに発展させるべく全力投球する所存です。

本学会は尊敬する坂本二哉先生を含めこれまで7名の理事長が精魂をこめて築き上げてこられました。その伝統を引き継ぎ、今後3年間、本学会の舵取りをどのようにすべきかと考える時、改めて責任の重大さを痛感しております。取り組むべき課題もまだ数多く残されており、それらを一つ一つ整理して、その解決のために真正面から取り組んで参りたいと思います。
日本心臓病学会の設立理念は「臨床心臓病学の発展とそれを支える若き臨床心臓医の育成」であり、この理念を今後も一番大事にして活動を進めたいと思います。教育委員会と出版委員会の協力を得て、心臓病全般の診断・治療の基本的なテキストを日本心臓病学会編集として定期的に出版し、若い臨床心臓医や研修医・学生の教育に役立てたいと思います。

医学と医療を廻る状況は本学会設立時と比べると大きく変化しています。地方の医師不足、勤務医の不足、若き医師たちの多忙な診療科への敬遠など、医療の現場は問題が山積していますが、これらの諸問題を最終的にどのように解決するかは、国民が判断して決めるものです。したがって、日本心臓病学会は心臓病患者や国民にとって極めて有益な学会であることを認知していただくためにも、本学会の社会貢献や啓発活動にも力を注ぎたいと思います。そして臨床心臓病の診療を廻る環境整備に国民の理解が得られるように努力する所存です。

本学会の会員数は、研修医の制度が始まって以来この数年伸び悩んでおります。内科診療・循環器診療に従事する若き医師たちにとって、もっと魅力溢れる学会になるように務めたいと思います。本学会の発展と活性化のために若い会員の増加は不可欠です。そのためには、日本循環器学会(松崎益徳理事長)と協力しつつ、相互に住み分けをしながら、米国のAHAと ACCのように日本循環器学会 (JCS) と日本心臓病学会 (JCC) が連携してともに発展することを願っています。

日本心臓病学会 (JCC) は臨床の現場に役立つ臨床研究を前進させ、臨床心臓病学をマスターしたと評価される臨床心臓病医にはFJCC (Fellow of Japanese College of Cardiology) の称号を与えています。米国心臓病学会のFACC (Fellow of American College of Cardiology) に比べると未だFJCCのステータスは十分ではありませんが、FJCC会員資格審査会や学会あり方委員会にお願いして、今後は若い臨床心臓医にとってもっとあこがれる称号にしたいと考えています。また国内だけでなく、海外、特にアジアの臨床心臓医にも門戸を広げ、取得を希望するようなFJCCにしたいと思っています。

また、臨床心臓病学の国内交流や国際交流にも力を入れたいと願っています。国際交流では米国心臓病学会(ACC)、ヨーロッパ心臓病学会(ESC) 、韓国・中国・東南アジアの心臓病学会との交流を深め、特にアジアの若い臨床心臓医を育成するためにAsian College of Cardiology を創設することを念頭において活動したいと思います。日本心臓病学会がその中心的な役割を果たすことができれば幸いです。国内交流では本学会と関連の深い学会との定期的なジョイントシンポジウムやジョイントセミナーを開催して、臨床心臓病に関する最先端の知識と技術を包括的に見聞できる機会を提供したいと思います。

学会組織の評価を高めるのに重要な役割を果たすのは、学会機関誌の発刊とその充実にあります。本学会は日本心臓病学会誌、Journal of Cardiology(念願のImpact Factorも本年6月には取得予定)、Journal of Cardiology Casesの3つの学会誌が2年前からスタートしています。今年から3つの学会誌は独立して、各々編集長と編集委員が組織され、投稿論文数もかなり増加しており、飛躍的な充実・発展が期待されています。

最後に、理事長として不足な部分を補佐して、学会運営をスムーズにできるように、今回から理事長補佐をスタートさせました。理事長補佐の協力を得ながら、アジアの中心として臨床心臓病学をリードできるような学会にしたいと思います。会員の皆様のご支援とご鞭撻のほど、宜しくお願い申し上げます。

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