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帯 状 疱 疹
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帯状疱疹は水痘帯状疱疹ウイルスによって引き起こされ、神経の走行に沿って皮膚に痛みと皮疹を生じる病気です。多くの人は小児期に水痘(水ぼうそう)にかかりますが、それが治った後もウイルスは脊髄近くの神経節の中に潜んでおり、年月を経て再び活動を始めることによって帯状疱疹が発症します。水痘は伝染しますが、同じウイルスで起こるにもかかわらず水泡への接触以外では感染の可能性は高くありません (ただし、まだ水痘をやっていない児には感染します)。
痛みが生じてから2〜3日経った後に小水疱を伴う皮疹が現れるため、皮膚所見のない間は他の疾患との見極めがなかなか困難です。痛みは激しく、間歇的であったり持続的であったりするため、特に左前胸部に生じた時は、心臓が原因の狭心症、急性心筋梗塞、あるいは急性心膜炎等と診断を誤ることがあります。しかし、帯状疱疹の症状は、皮膚の神経の走行に沿って出るため、痛みが胸の真ん中を越えて反対側にまで及ぶということはありません。
この病気は60歳ー80歳台に多く、その点からも心臓病との見極めが重要です。胸が痛くなった時は、一刻も早く医者にかかり命に関わる心臓病かどうかの診察を受けて下さい。心臓は悪くないと言われ、原因がはっきりしないまま2ー3日して痛みのある部位に水疱を伴う皮疹が生じ、何だ帯状疱疹だったのかということも往々にしてあります。治療は後遺症としての神経痛を防ぐためにアシクロビールというお薬を使いますが、本来この病気は良性で10日から遅くとも4週間の経過で自然治癒し、命に関わるような心配はありません。
[大手信之:名古屋市立大学第三内科] |
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乳 房 疾 患
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乳房の病気も胸痛の原因となる可能性があります。最も重要なのは乳癌ですが、一般に乳癌で痛みを伴うことはまれです。ただ、しこりや、分泌物を伴う場合は乳癌でないことの確認が必要です。
乳房の痛みの原因として最も多いのが乳腺症です。これは40歳を過ぎた女性に多く見られ、月経周期に伴う女性ホルモンの分泌の変化によって起こります。排卵後に乳房が張り、比較的固いしこりができ、押すと痛みますが、月経が始まると症状が消えます。閉経後には消失するので通常は治療はいりませんが、これも乳癌でないことを医師に診断してもらいましょう。乳腺炎も乳房の痛みを起こします。これには授乳期乳腺炎と乳輪下膿瘍があります。
授乳期乳腺炎は、乳腺に乳汁がたまり、そこに細菌が感染することにより起こります。初産の人で授乳後2週間頃に起こりやすく、最初は乳房が腫れる程度ですが、炎症が強くなると、乳房の皮膚が赤くなり、さらには熱感や、強い痛みが生じます。抗生物質で治療しますが、腫瘍ができたら切開して排膿をするなどの処置が必要になります。乳輪下膿瘍は、乳輪の下に痛みのあるしこりができ、これが破れて膿が出るということを反復します。授乳とは関係なく若い女性に起こりやすい病気です。乳首の陥没している人にできやすい特徴があります。しこり(膿瘍)を切除し、同時に中に引っ込んでいる乳頭を外に出す手術が必要です。
ついでにあまり痛みを伴わないが頻度の多い病気について触れておきましょう。乳腺線維腺腫は、若い女性の乳房にできる、弾力があって固く、大豆大からうずらの卵くらいの大きさのしこりで、痛みはなく、偶然にしこりに触れて気づきます。良性ですが、乳癌でないことの確認のため診察をお勧めします。また、病気ではありませんが、経口避妊薬(ピル)を服用すると乳房が張り痛むことがあります。
[大森浩二・香川医科大学第二内科] |
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胸壁の筋肉・骨疾患
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胸痛を生じる筋肉・骨疾患としては1.肋軟骨炎、2.肋間筋肉痛、3.Tieze氏病、4.脊椎(特に頚椎領域の)骨関節症、5.頚椎間板ヘルニアなどがあげられます。多くの場合、心臓由来の痛みとは異なり1.痛みの領域内に限局性に押さえると痛い場所(圧痛点)が存在する。2.身体の動き(例えば深呼吸や身体をひねったり、肩を動かしたりする)と痛みの増強との間に明らかな関連がある。3.痛みの質はわりと「鋭く、チクチク刺すような」タイプが多く、しばしば「凝った、あるいは張った」感じを感じることが多い。4.多くの場合外傷や、身体をひねったり、胸の筋肉の不自然な動きの後に引き続いて起こることが多い。5.狭心症の治療薬であるニトログリセリン効果がない。といった、特徴があります。
ほとんどの場合が良性疾患で、鎮痛剤の貼布、塗布または局注により軽快することが多いですが、心臓由来の胸痛と合併したり、肺疾患による胸痛に類似する場合もありますので、あまり心配はしないようにしつつも内科の診察を受けていただいた方がよいと思われます。Tieze氏病は20-30才台に好発する主に片側の第二ないし第三胸骨-肋軟骨関節に有痛性腫脹を生じる疾患で、原因は胸肋靭帯の炎症です。
[竹内陽史郎:竹内医院] |
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肋 間 神 経 痛
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肋間神経痛は肋間神経の走行にしたがって生じる痛みです。肋間神経は背骨の中を通る胸髄から始まり、肋骨に沿って背中から側胸部、前胸部へと分布している神経です。背骨の間を通るため、骨の変形などにより神経が圧迫されることによって痛みが生じます。
肋間神経痛は第5〜9肋間に起こることが多いと言われています。原因は貧血やリウマチなどの全身性の病気やウイルスや細菌感染の後の毒素によるもの、寒冷、外傷性、肋間部の結合織炎、腫瘍、膿瘍などいろいろあげられます。この中で最も有名なものは帯状疱疹(ヘルペス)後神経痛です。帯状疱疹は胸部に起こりやすく左右どちらかの肋間にそって、始めは衣類がこすれても痛みを感じます(知覚過敏)。3、4日すると小さな水疱状の発疹が出現し約2ー3週間で改善しますが、1ヶ月以上経過しても痛みが残る場合をヘルペス後神経痛といい高齢者に多くみられます。早い時期に皮膚科を受診し抗ウイルス薬やビタミン剤の投与を行うと早く回復する場合があります。
肋間神経痛の痛みは体をひねったり、大きな深呼吸などで増強する表面的な痛みで、数時間〜数日間持続することがあります。冷汗を伴なったり熱を出したりすることはなく全身状態は比較的良好です。胸痛をきたす他の疾患(心臓、血管、胸膜、食道、胃、胆石、心因性等)と区別することが重要で、痛みが持続する場合には内科もしくは神経内科を受診し精査を行う必要があります。治療は抗けいれん薬や鎮痛薬などの薬物の投与や、痛みが強く我慢できない場合は局所麻酔薬の局所注射や神経ブロックなどを行うこともあります。
[谷本京美・東京女子医科大学心研内科] |