JC Original Articles Abstract 492-2J

題名


インターネットを介した断層心エコー図像の遠隔配信による左室壁運動の評価

著者

平野 豊 / 生田 新一郎 / 中野 学 / 秋山 静太 / 中村 元 / 那須 雅孝 / 斉藤 大 / 中川 純一 / 松崎 正史 / 宮崎 俊一

巻号

49-2

69-75

発行年月

2007 年 2月

要  約

 背 景:心エコー図の壁運動評価は,主観的であるだけでなく,検者間で差が生じやすい.デジタル通信技術の進歩により,インターネットを通して遠距離間で動画を送ることが可能となった.
 目 的:断層心エコー図動画像をインターネットを用いて配信し,遠距離の2施設間での左室壁運動評価がどの程度一致するかを検討する.
 方 法:断層心エコー図が十分に描出された疾患22例を選択した.おのおのの症例の傍胸骨長軸断層像,傍胸骨短軸断層像,および心尖四腔像,心尖二腔像の4断面について1心周期の動画をデジタル保存した.各症例の4断面をWebサイト上に動画で掲載し,インターネットを通じて遠方の2施設(施設A,施設B)に配信した.患者情報を知らない検者(施設Aは検者C,施設Bは検者Dと検者E)が各施設で別々に壁運動の評価を行った.傍胸骨長軸断層像を4セグメント,傍胸骨短軸断層像,心尖四腔像,心尖二腔像をそれぞれ6セグメントに分割して評価し,おのおのに正常,壁運動低下,壁運動消失,奇異性壁運動のスコアリングを行った.なお,施設Bの検者Dは約14日後に同じ画像を再評価してスコアリングした.
 結 果:24セグメントは画質不良のため評価対象から削除した.インターネットで配信された画像でのA施設(検者C)とB施設(検者D)の初回壁運動評価の診断一致率は,全460セグメント中394セグメント(85.7%)であった(Kappa=0.65).B施設で14日間間隔をおいて検者Dが再度評価した場合の壁運動診断一致率は460セグメント中434セグメント(94.3%)であった(Kappa=0.86).同一施設内での検者Dと検者Eの壁運動診断一致率は全460セグメント中353セグメント(76.7%)であった(Kappa=0.39).検者Cと検者Eとの壁運動診断一致率は全460セグメント中351セグメント(76.3%)であった(Kappa=0.36).検者Cと検者Dの検者間で,診断が食い違 ったセグメントは正常と壁運動低下間の食い違いが62.1%と最も多く,つぎに壁運動低下と壁運動消失間の食い違いが33.3%,壁運動消失と奇異性壁運動間の食い違いが3.0%, 正常と壁運動消失間の食い違いが1.5%であり,スコアの差は1段階の差が大多数(95.4%)であった.
 結 論:インターネットを用いた動画像の評価は有用と思われる.