JC Original Articles Abstract 314-1J
題名心臓カテーテル検査後のコレステロール塞栓症に関する臨床的検討
著者泉 知里 / 近藤 博和 / 田村 俊寛 / 猪子 森明 / 北口 勝司 / 日村 好宏 / 伊賀 幹二 / 玄 博 允 / 小 西 孝   
201201-206 発行年月1998 年4 月
要  約
 心臓カテーテル検査に合併するコレステロール塞栓症の臨床的特徴を検討した.
1991-1996年に心臓カテーテル検査を行った4,920例の中から,組織学的または臨床上コレステロール塞栓症と診断された8例(男性6例,女性2例,平均年齢69歳)を対象とした.
 冠危険因子は全例で2つ以上みられた.経食道心エコー図検査を施行した5例全例に,大動脈に可動性プラークを認めた.8例中7例は,診断カテーテル検査以外に,経皮的冠動脈形成術,心血管手術,心肺蘇生など重複した誘因を持ち,誘因から症状出現までの期間は平均[±SD]32±9日であった.初発症状は進行する腎不全4例,足趾チアノーゼ2例,大腿部筋痛1例,治療に抵抗性の血圧上昇1例で,症状に先行した好酸球増加が6例でみられた.抗凝固療法は施行されていた4例中3例で中止されたが,うち2例は中止後も足趾チアノーゼ,腎不全が進行した.硬膜外麻酔が3例中2例で著効を示し,足趾切断を免れた.8例中4例が死亡したが,そのうち初期の2例は無治療のため症状出現後2ヵ月以内に死亡,後期の2例は臨床症状より疑いを持たれ,血液透析などを早期に行ったため,長期生存が可能であった.
 コレステロール塞栓症では症状が多彩で,かつ誘因から期間をおいて発現するため診断が困難であるが,早期に対症療法を施行しなければ急激に進行する症例がある.症状発現に先行した好酸球増加が高率にみられ,早期診断の手掛かりになると思われた.硬膜外麻酔はコレステロール塞栓症における足趾チアノーゼに非常に有用な治療法であると考えられた.カテーテル検査後の好酸球増加などからコレステロール塞栓症を積極的に疑い,症状出現後は早期に抗凝固療法の中止,硬膜外麻酔,血液透析などの対症療法を行う必要がある.